セルフ・カウンセリング
自分の心に出会えるメルマガ


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セルフ・カウンセリング
♪ 自分の心に出会えるメルマガ ♪
( ”イライラ””モヤモヤ”が解消できる!)
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第 48 号 2009年 3月 1日
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みなさん、こんにちは。

「セルフ・カウンセリング ♪自分の心に出会えるメルマガ♪」をお読みいただきありがとうございます。

みなさんは、セルフ・カウンセリングという言葉を耳にしたことがおありですか?
これは、渡辺康麿氏が創案した、書いて読む、一人で出来る自己発見法です。

私たちは、このセルフ・カウンセリングを学んでいるグル-プですが、みなさんにも、ぜひ、この方法をお伝えしたいと思い、 同氏の著書を連載することにいたしました。

楽しくお読みいただけたら幸いです。

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連載になっております。興味のある方は、バックナンバーからお読みいただくとわかりやすいと思います。
   1〜22号   「自分の心に出会える本」より
   23号〜    「自己形成学の創造」より
   32号〜 新連載「セルフ・カウンセリングの方法」より

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人は、生まれてから今に至るまでの人生の中で、いろいろな経験をします。
そして、その経験を通して、「こうしなければならない」とか「こうあらねばならない」とかいうその人なりのモノサシを形作っていきます。

自分の生い立ちを振り返ることによって、無意識に取り込んできたそのようなモノサシに気づき、 そのとらわれから自由になっていく方法を自己形成史分析といいます。

セルフ・カウンセリングという方法は、このような、自己形成史分析という自己探求の方法が基礎になっています。

☆★☆セルフ・カウンセリングとは?☆★☆

セルフ・カウンセリングでは、自分が経験した日常生活のある時の場面を書きます。
家庭や学校、職場での場面など、どのような場面でもかまいません。
テレビを見た時、本を読んだ時、一人で考えている時など、相手がいない場面も大切な題材になります。
もちろん文章の上手・下手はまったく問題ありません。
専門知識も必要ありません。
自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、言ったこと、したことを、時間の順にそのまま書くと、リポートになります。
まず、自分が何を悩んでいるのかわかります。
その悩みの奥に、どのような願いがあるのかわかります。
そして、相手の気持ちがわかります。
そうすると、自分と相手の気持ちを尊重しつつ、心を通わせてゆくための知恵が生まれます。
人間関係のすべてに共通する心のからくりを、自分の経験を通して学ぶことができます。

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第32号より、セルフ・カウンセリングのプログラムに取り組み、 新たな自己発見をした方々の、体験談を紹介していきます。

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「セルフ・カウンセリングの方法」 渡辺康麿著 より抜粋
(vol . 16 )

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ー セルフ・カウンセリング ケーススタディ 9 ー
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タイトル「私情をはさむ上司に我慢できない」  [男性・30歳]
          ( ケーススタディ9 − 前半 )

【研究動機】

四年前、ディスカウントスーパーを経営する会社に中途採用で入社。
人事課に配属され、昨年、主任に昇格した三〇歳の独身男性です。
私が採用された頃から、会社には不況の影響が徐々に出始めていました。
それが最近では、リストラの波となっています。
まず新規採用枠が大幅に削られました。
業務全般において合理化が進み、女子正社員もパートも、私の入社当時の半数以下にまで削減されました。
代わりにOA機器が大量に導入されました。
そして、パソコンを扱える人が派遣会社から来るようになりました。
それはそれでいいと思うのですが、それを理由に不当解雇に近いことがまかり通っているというのが私の印象です。
とくに私の上司である人事課長のS氏は、合理化を口実に気に入らない人間を排除しようとしている気がします。
私情で職務を行うことに、私は疑問を感じるのです。
ただ主任という立場上、直属の上司に表立って反発するわけにもいかず、ムシャクシャするばかりです。
酒で憂さを晴らしていたら、先日の健康診断では肝硬変予備軍と言われてしまいました。
嫌なやつのせいで自分の命を縮めては悔しいと思い、課長とのやりとりを記述することにしました。

【場面説明】

成○年二月末のある日。
会社の会議室で。
課内の会議が終了後、S課長(男性、47歳。以下「課長」)は、「話がある」と言い、私とA君(私の同年代の男性)の二人を残した。
会議室の机はロの字型になっていた。
ホワイトボードのある一角に課長がいた。
私は課長から見て左側の一角に座っていた。
課長と対面する一角にA君がいた。
課長から見て右側の机は空いていた。

【場面記述】

課長は「中村さん(パートの女性、50代)の仕事ぶりのことで、田中君(社員。女性、24歳)が悩んでいる。
離席や雑談が多くて、一日六時間のうち、実際には三時間も働いていない。
北野君(私のこと)、どうだろう。
この際、主任である北野君のほうから指示を出してもらえないだろうか。
中村さんの仕事ぶりを監督してほしいんだ」と言った。

私は〈田中さんが課長に言ったのか。
彼女は中村さんを使うのに、どれだけの努力をしたっていうんだ。
あの人の性格はよく知っていいる。
どうせ被害者ぶって、課長にあることないこと言いつけたのだ。
課長も課長だ。
彼女の言うことを全部、鵜呑みにしている。
課長はいつでもこうなんだ。
自分の好きな部下の意見は全面的に取り上げ、そうでない人の意見はことごとく切り捨てる。
しかし、見張っていろだなんて、困ったことになった。
上役の依頼をムゲに断るわけにもいかないし。
とにかく事実関係を調べるのが先じゃないか。
そうだ、この場はそう言っておこう〉と思った。

私が「課長のおっしゃることはわかります。
ただ、私としては事実関係をもう少し調べてから……」と言っている途中で、

課長は「その必要はない。
もう中村さんの人柄はよくわかっているんだ。
田中君は、前任者も同じようなことを言っていた、と言っているんだ」と大きな声で言った。

私は〈これだ。
気に入らない人間の意見は容赦なく叩き潰す。
これがこの人のやり方なんだ〉と思った。

課長はA君のほうを見て、「A君はどう思う」と言った。

私は〈勝手にしろ〉と思った。

私は〈調子のいいやつめ。
こいつは上役の意見は否定したことがない。
課長もそれを知っていて、Aに同調を求めているんだな〉と思った。

課長は「いいか、北野。これは仕事だ。私情を持ち込むな」と言った。

私は〈どっちが!私情を持ち込んでいるのは、あんたたちだ。
中途採用された俺に中村さんはいろいろ気を遣ってくれたのに。
その彼女を監視するなんて俺も嫌だし、中村さんだっていい気持ちはしないだろう>と思った。

私は「それでは、田中さんが中村さんにやらせたい仕事を私が受けとり、私が中村さんにやらせるわけですか。
そんなことをしたら、中村さん、気を悪くするんじゃないですか?」と言った。

私は〈ムッとした気持ちが声に出ちゃったよ〉と思った。

課長は「結構だ。
それで気を悪くするなら退職してもらってもいいと思っている」と言った。

私は〈クソじじい〉と思った。

課長は「もし、仕事ぶりが直らなかったら、北野君、君から会社を辞めるように言ってくれ」と言った。

私は〈やっぱり辞めさせたいんだな。
でも、なぜそこまで。
中村さんの何がそんなに気に入らないんだろう〉と思った。

私は「田中さんは、中村さんのことでそんなに困っているんですか」と言った。

課長は「そうだ。
田中君は、以前使っていた荻さんが、子育てを終えて今家にいるから、彼女を再雇用してほしいと言っている。
会社は慈善事業じゃないんだ。
役に立たない者は切る、それが論理だ。
この際だから中村さんは辞めさせて、荻さんを雇おうと思う」と言った。

私は〈そんなの、あんまりだ〉と思った。

私は「そんな」と言った。

課長はAの顔を見て「A君、どうだ? 君は荻さんを知ってるよな。 どうだい、荻さんのほうがよく働いて、使いやすかっただろう?」と言った。

Aは「そりゃあもう。段違いですよ、課長」と言った。

私は〈コイツのオベッカには吐き気がする〉と思った。

私は「課長、何も辞めさせることはないじゃないですか。
田中さんと中村さんがうまくいかないなら、中村さんを他の部署に移すとか。
中村さんは現在の仕事を10年以上やっています。
つまり中村さんは、実質的には田中さんの先輩です。
だから使いづらいのではないでしょうか」と言った。

課長は「北野君、いったい君は何を考えているんだ。
そんなバカげたことができると思うのか。
人事を扱っている当課が、ダメな人間を他の部署に移してみろ。
みんなが迷惑するし、信用もなくなる」と言って、机の上の書類をまとめ始めた。

私は〈課長は、本気で中村さんを辞めさせる気だ。
しかし、それなら何も俺にやらせることないじゃないか。
田中さんが直接言えばいい。
あるいは課長が自分で中村さんに言い渡せばいい。
俺は中村さんに辞めろなんて、とても言えない〉と思った。

ガタガタと音がした。

私は顔を上げて、課長のほうを見た。

課長は書類を抱えて立ち上がっていた。

課長はドアに向かって歩いた。

課長は私のほうを見て「今後は君が中村さんの勤務を監督するんだ。
解雇する理由になるような行動をよく押さえておけ。
事実を把握した上で、時期を見はからって辞めさせろ。
わかったな。これは命令だ」と言った。

「ガチャ」とドアを閉める音がして、課長は部屋から出て行った。

【記述を読み返して】

記述する前は、〈課長は気に入った部下だけを大事にする嫌なやつである〉と思っていました。
好きな部下をエコ贔屓して、嫌いな部下は無視したり苛めたり。
そうやって自分の好き嫌いを仕事に持ち込むのはよくないことだ、と思っていました。
課長がどんなに不当であるかを証明したい、という思いに駆り立てられて、私はこの記述を書きました。
記述を書く前、記述を書いているときの私のイメージはこんなふうでした。
つまり課長と、課長に迎合する連中とで枠を作っており、中村さんはそこからしめだされた弱者である。
私は、そういう弱者の権利(人権)を擁護してあげようとする正義の味方である。
私の課長に対する怒りは正当なものであり、正義の怒りと言えるものだ……というイメージでした。

☆★☆私もまた私情をはさんでいた☆★☆

ところが記述を読み返したら、私だって自分の好き嫌いで動いていたということに気づかされました。
この気づきには、けっこう抵抗を感じました。

以下、次号(ケーススタディ9ー後半)に つづく・・・

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