セルフ・カウンセリング
自分の心に出会えるメルマガ


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セルフ・カウンセリング
♪ 自分の心に出会えるメルマガ ♪
( ”イライラ””モヤモヤ”が解消できる!)
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第 50 号 2009年 4月 1日
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みなさん、こんにちは。

「セルフ・カウンセリング ♪自分の心に出会えるメルマガ♪」をお読みいただきありがとうございます。

みなさんは、セルフ・カウンセリングという言葉を耳にしたことがおありですか?
これは、渡辺康麿氏が創案した、書いて読む、一人で出来る自己発見法です。

私たちは、このセルフ・カウンセリングを学んでいるグル-プですが、みなさんにも、ぜひ、この方法をお伝えしたいと思い、 同氏の著書を連載することにいたしました。

楽しくお読みいただけたら幸いです。

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連載になっております。興味のある方は、バックナンバーからお読みいただくとわかりやすいと思います。
   1〜22号   「自分の心に出会える本」より
   23号〜    「自己形成学の創造」より
   32号〜 新連載「セルフ・カウンセリングの方法」より

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人は、生まれてから今に至るまでの人生の中で、いろいろな経験をします。
そして、その経験を通して、「こうしなければならない」とか「こうあらねばならない」とかいうその人なりのモノサシを形作っていきます。

自分の生い立ちを振り返ることによって、無意識に取り込んできたそのようなモノサシに気づき、 そのとらわれから自由になっていく方法を自己形成史分析といいます。

セルフ・カウンセリングという方法は、このような、自己形成史分析という自己探求の方法が基礎になっています。

☆★☆セルフ・カウンセリングとは?☆★☆

セルフ・カウンセリングでは、自分が経験した日常生活のある時の場面を書きます。
家庭や学校、職場での場面など、どのような場面でもかまいません。
テレビを見た時、本を読んだ時、一人で考えている時など、相手がいない場面も大切な題材になります。
もちろん文章の上手・下手はまったく問題ありません。
専門知識も必要ありません。
自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、言ったこと、したことを、時間の順にそのまま書くと、リポートになります。
まず、自分が何を悩んでいるのかわかります。
その悩みの奥に、どのような願いがあるのかわかります。
そして、相手の気持ちがわかります。
そうすると、自分と相手の気持ちを尊重しつつ、心を通わせてゆくための知恵が生まれます。
人間関係のすべてに共通する心のからくりを、自分の経験を通して学ぶことができます。

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第32号より、セルフ・カウンセリングのプログラムに取り組み、 新たな自己発見をした方々の、体験談を紹介していきます。

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「セルフ・カウンセリングの方法」 渡辺康麿著 より抜粋
(vol . 19 )

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ー セルフ・カウンセリング ケーススタディ 10 ー
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タイトル「反抗的な部下に腹が立つ」  [男性・48歳]
          ( ケーススタディ10 − 後半 )

【研究動機】

この地に赴任して二年間、私は営業所長として営業所全般の管理を職務としてきました。
新人教育担当のトレーナーも、私と同じ時期に他所から転勤してきて、彼と私は初めての顔合わせでした。
今年に入った頃だったと思います。
チームの管理指導役である部下のマネージャーたちから、トレーナーに関していろいろと苦情が出てくるようになりました。
一度きちんと話し合いをしておかないと、営業成績にも影響すると思い、トレーナーと話し合いをしました。
話し合いは、苦々しい結果に終わりました。
若い人との考え方の違いもあると思います。
また、事務出身では仕事に対する考え方が違うということもあるでしょう。
しかし、私は間違ったことは言っていないと思うのです。
私の側の反省点と言えば、あまりにも性急に話しすぎたのではないか、ということです。
考え方の違う相手にはどう注意すればいいのかと悩み、問題の場面を取り上げました。

【場面説明】

平成○年三月×日。
朝10時頃。
朝礼が終わった後、私はトレーナー(男性、31歳。以下Tとする)を営業所の応接室に呼び、話をした。

【場面記述】

私は応接室の窓際に立った。

私はブラインドのすきまから外を見た。

私は〈どこから話を切り出したらいいか〉と思いながらTを待った。

物音がした。

私はふり返った。
Tが開けてあった扉を後ろ手で閉めながら、「何ですか。
スケジュールがつまっていて、忙しいんですけど」と言った。

私は〈横柄なやつめ。
大事な話なんだ〉と思った。

私は「10分や20分はいいだろう。
いろいろと聞いておきたいことがあるんだ」と言った。

Tは「はぁ。そのくらいなら」と言いながら、ソファに腰を下ろした。

私は〈掛けろとも言っていないのに、まったく最近の若い連中は態度がデカイ〉と思った。

私は一つ咳払いをして、ソファに腰掛けた。

私は「最近、マネージャーからいろいろと苦情が出ているんだがね」と言った。

Tは私の顔を見ていた。

私は「あることないこと、部下の職員に言われて困っているとか」と言った。

Tは「どういうことですか」と言った。

私は〈ふてぶてしいな。
しらばっくれる気か〉と思った。

私は「『A(マネージャー)は知識がない』とか、『営業所の女の子を食っている』とか、『B(マネージャー)は仕事がぜんぜんできない』とか、 そういうことを君に吹聴されて非常に困っているという苦情が、マネージャーのほうから入って来ているんだ」と言った。

Tは目を丸くして私の顔を見ていた。

私は〈どうなんだ。
何とか言ってみろ〉と思った。

私は「どうなのかね。
そういう事実があるのかね。
それを確かめるために君をここに呼んだんだ」と言った。

Tは「誰が、そんなこと言っているんですか」と言った。

私は〈話をそらすんじゃない!〉と思った。

私は「マネージャーだ。
だが一人ではない。
誰が言ったかなんて、そんなことはどうでもいいだろう。
そういうことを言ったのかどうかを聞いているんだ」と言った。

Tは「それでは、いつ、どこで、誰に、私がそんなことを言ったと言うんですか」と言った。

私は、〈そんなことはわからない〉と思った。

私は「いつ、どこで、誰にということは、私にもわからない。
しかし近頃、営業所内の雰囲気がちょっとおかしいと思うんだが、気がつかないか」と言った。

Tは「成績も上がっているし、ぜんぜんそんなことありませんよ」と言った。

私は〈まずい。
このままだとうまく言い逃れをされてしまう〉と思った。

私は「それにT君、君は最近、よく遅刻することがあるね。
終礼にも出ないことがある。どういうことだ」と言った。

私は〈しまった。
これでは話がそれてしまう〉と思った。

Tは「新人に同行する予定がびっしりつまっていて、夕方は間に合わないときだってありますよ」といった。

Tはタバコを一本取り出して、火をつけた。

私は〈どこまでも言いわけして、自分を正当化する気だな。
そうはさせないぞ〉と思った。

私は「朝は?」と言って、Tの目を見た。

Tは「朝は、お客様のところに直接行くときもあるし、その他いろいろと……」と言って目をそらし、タバコを吸った。

私は〈タバコ吸ってる場合じゃないだろ〉と思った。

私は「朝礼、終礼は、マネージャーを職員が一堂に会する場だ。
もちろん新人もだ。新人が全員帰ってきているのに、同行はないだろう。
朝にしても、前日に予定がたてられるはずだ。
トレーナーという立場にありながら連絡もせず、勝手な行動をとるというのはどういうことなんだ」と強い調子で言った。

私は〈思わず、詰問調になってしまった〉と思った。

Tは「連絡すればいいんですか」と言って、灰皿にタバコを揉み消した。

私は〈開き直ろうっていうんだな〉と思った。

私は「連絡すればいいというものではない。
少なくともトレーナーとして新人を指導する立場にある者が、遅刻はする、終礼には出ない、これではケジメがつかない。
とにかく今日の終礼からは、必ず出るように」と言った。

Tは「わかりました。
出ればいいんですね」と言った。

私は〈ダメだ。
ぜんぜんわかってない〉と思った。

Tは私の目を見た。

私は〈睨みつけてきたな。
当然のことを言ったまでだ。
それなのに、その反抗的な態度は何だ〉と思った。

私は「それが当たり前だ」と言った。

私は〈あ、そうだ。
さっきの話。
すっかり振り回されてしまったが、ごまかされてなるものか〉と思った。

私は「それから話は戻るが、T君。
自分をよく見せるために、他人の悪口を言うっていうのはどうかな。
人をこき下ろしたって評価は上がらないよ。
みんなはバカじゃないんだ。根も葉もない中傷はすぐバレるんだ」と言った。

Tは「そんなことありませんけど」と強い調子で言った。

Tの白目が赤く充血していた。

私は〈興奮したな〉と思った。

Tは「もういいですよ。
所長がそう思うんだったら、そう思ってもらってていいですよ。
ハイハイわかりました、ハイハイ」と言った。

私は〈このやろう、人をバカにしているな。
でも、これ以上興奮させるのはまずいな。
不愉快だがここは引こう〉と思った。

私は「今日は、このくらいにしておくよ。
引き止めて悪かった。
じゃ」と言いながら、手で扉の方向を示した。
Tは応接室から出ていった。

私は〈挨拶もしないで。
当然のことを注意されて何がそんなに不満なんだ。ムカムカする>と思った。
私の手が、応接セットにあるタバコにいき、火をつけた。

私は〈無意識に吸ってしまった。 10年間(タバコを)止めていたというのに……〉と思った。

【場面記述を読み返して】

このときのことを思い起こしながら記述して、最初に気づいたことは、私はけっこう行き当たりバッタリに話をしていたということでした。
記述をする前は、自分は慎重なタイプの人間だと思っていました。
この場面でも、どこから話を切り出したらいいか、何をどのような順序で話せばいいか、気を遣って話したという印象がありました。
ところが実際に記述してみると、自分というのは何とも成り行きまかせな人間であるという気がしてきました。
というより、相手のペースに巻き込まれていると言っていいと思います。
私はこの記述をさらにじっくり読み返してみました。
Tの「何ですか。スケジュールがつまっていて、忙しいんですけど」というセリフを聞いてから、終始一貫、Tに対して否定的であったということに気づきました。
〈横柄なやつめ。大事な話しなんだ〉
〈掛けろとも言っていないのに、まったく最近の若い連中は態度がデカイ〉
〈ふてぶてしいな。しらばっくれる気か〉
〈どうなんだ。何とか言ってみろ〉
〈話しをそらすんじゃない!〉
〈どこまも言いわけして、自分を正当化する気だな。そうはさせないぞ〉
〈タバコ吸ってる場合じゃないだろ〉
〈開き直ろうっていうんだな〉
〈ダメだ。ぜんぜんわかってない〉
〈睨みつけてきたな。当然のことを言ったまでだ。
それなのに、その反抗的な態度は何だ〉
〈ごまかされてなるものか〉
〈このやろう、人をバカにしているな〉
〈挨拶もしないで。
当然のことを注意されて何がそんなに不満なんだ。ムカムカする〉……
これらの心のセリフを拾い読みすると、なぜ自分がTに対して否定的に感じたのか、納得することができます。
一つには、上司の話は真面目に聞くのが当然である、という思いがあります。
とくにこの場面では、私の話こそが重要なのであり、Tは私の話に真剣に耳を傾け、私が聞いたことに対して適切かつ正確な回答を提示すべきである、 という強い思いが私を詰問調に駆り立てていました。
ところが目の前にいるTは、私が思ったようには反応しません。
「何ですか。スケジュールがつまっていて、忙しいんですけど」
「誰が、そんなこと言っているんですか」
「それでは、いつ、どこで、誰に、私がそんなことを言ったと言うんですか」……
私の聞きたいことに答える代わりにTは自分の都合を述べ、自分の疑問を私にぶつけてきています。
そんなTにムッとしたり、イライラしたり、カッと頭に血がのぼったりと、私は始終一貫、否定的だったのです。

【洞察をしてみて】

記述の時点では、Tに対して否定的だったということと、なぜ自分がそう感じたのかということがわかりました。
そのことは洞察によって、さらに明らかになりました。
まずはマネージャー経由の苦情のことで、〈ちゃんと話を聞いてほしい〉
〈真面目に答えてほしい〉
〈本当のことを正直に言ってほしい〉
〈早く素直に見とめてほしい〉という、私からTに対する欲求(期待感)がありました。
次に、日頃の勤務態度について、〈きちんと仕事をしてほしい〉
〈自分の立場をわきまえ、職務をしっかり果たしてほしい〉と私はTに期待しました。
最終的には、〈私の忠告を聞き入れ、自分自身の在り方を真剣に考えてほしい〉と私はTに期待しました。
このような私のTに対する欲求(期待感)があったからこそ、私の期待にそぐわないTの現実を否定的に感じたのです。

☆★☆説得しようと焦っていた☆★☆

私から私(自分自身)の感情や欲求を洞察してみました。
すると〈焦り〉という感情と、〈Tを説得したい〉という欲求とが、非常に強くあったということがわかりました。

以下、次号(ケーススタディ10ー後半)に つづく・・・

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