※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                            セルフ・カウンセリング          ♪ 自分の心に出会えるメルマガ ♪             ( ”イライラ””モヤモヤ”が解消できる!) ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                     第 370 号  2022 年 8月  1日 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※    新型コロナウィルス感染症の影響で苦しみのうちにあるすべての皆さまへ    心よりお見舞い申し上げます。    またその方々のために献身的に働いておられる医療関係者の皆さまへ    そして社会のライフラインを維持するために働かれている皆さまへ    感謝申し上げますとともに一日も早く元の平穏な日々に戻りますことを    心よりお祈りいたします。     **************************************    みなさん、こんにちは。    「 セルフ・カウンセリング ♪自分の心に出会えるメルマガ♪ 」    をお読みいただきありがとうございます。    みなさんは、セルフ・カウンセリングという言葉を    耳にしたことがおありですか?    これは、渡辺康麿氏が創案した、    書いて読む、一人で出来る自己発見法です。    私たちは、このセルフ・カウンセリングを学んでいるグル-プですが、    みなさんにも、ぜひ、この方法をお伝えしたいと思い、    同氏の著書を連載することにいたしました。    楽しくお読みいただけたら幸いです。   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜    連載になっております。興味のある方は、    バックナンバーからお読みいただくとわかりやすいと思います。       1号〜    「自分の心に出会える本」     23号〜    「自己形成学の創造」     32号〜    「セルフ・カウンセリングの方法」     62号〜    「自分って何だろう‐現代日本人の自己形成‐」    136号〜    「大人の自己発見・子どもの再発見」 176号〜    「自分を見つける心理分析」 286号〜    「避けられない苦手な人とつきあう方法」    334号〜    「わかっていてもイライラするお母さんへ」    356号〜 新連載「小学生にわかっていてもイライラするお母さんへ」  バックナンバーはこちら→ https://secure02.red.shared-server.net/www.self-c.net/mg/index.html   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜* ************************************** **************************************    人は、生まれてから今に至るまでの人生の中で、    いろいろな経験をします。        そして、その経験を通して、    「こうしなければならない」とか「こうあらねばならない」とかいう    その人なりのモノサシを形作っていきます。    自分の生い立ちを振り返ることによって、    無意識に取り込んできたそのようなモノサシに気づき、    そのとらわれから自由になっていく方法を    自己形成史分析といいます。    セルフ・カウンセリングという方法は、    このような、自己形成史分析という    自己探究の方法が基礎になっています。        ☆★☆ セルフ・カウンセリングとは? ☆★☆    セルフ・カウンセリングでは、    自分が経験した日常生活のある時の場面を書きます。        家庭や学校、職場での場面など、どのような場面でもかまいません。        テレビを見た時、本を読んだ時、一人で考えている時など、    相手がいない場面も大切な題材になります。    もちろん文章の上手・下手はまったく問題ありません。    専門知識も必要ありません。        自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、言ったこと、したことを、    時間の順にそのまま書くと、リポートになります。    まず、自分が何を悩んでいるのかわかります。    その悩みの奥に、どのような願いがあるのかわかります。        そして、相手の気持ちがわかります。        そうすると、自分と相手の気持ちを尊重しつつ、    心を通わせてゆくための知恵が生まれます。        人間関係のすべてに共通する心のからくりを、    自分の経験を通して学ぶことができます。 ************************************** **************************************              「小学生にわかっていてもイライラするお母さんへ」       わが子の心が見えてくるセルフ・カウンセリング                                  渡辺康麿著  より抜粋                         ( vol . 15 ) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++          ─ お母さんたちのセルフ・カウンセリング体験記 ─             ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++         5 きっと『アブナイ子だ』と            思われてるわ!                     「もっと人目を気にしなさい!」            と言いたいけど言えない苦しさを見つめて   安田和枝           自分の中の葛藤する気持ちをそのまま伝えればいいんだ!              ( 体験記 5 ー 後半 )      前号からの続きですので、バックナンバー369号から      お読みいただくとわかりやすくなっています。 ■書き直した記述  私は<いつも帰ってくる時間を、ずいぶん過ぎてるな。寄り道くらいなら、もう帰ってもいい時間だ。     途中で具合でも悪くなったのかしら>と思った。  私はベランダから外を見た。  隆史がマンションに向かって歩いているのが見えた。  私は<あっ、帰ってきた!帰ってきた!元気そうじゃない。身体の方は大丈夫だったんだ。良かった。     でも、こんなに人をハラハラさせて!     今日は調子が悪いんだから、早く帰って来るように、とあれほど言っておいたのに!>と思った。  私は、玄関に立った。  私は<何か言わなければ気がすまないわ!何て言ってやろう。早く上がって来ないかしら>と思った。  隆史がドアを開けた。  隆史は、目を大きく開いて私を見た。  私は<私が玄関に立っているので、びっくりしているな>と思った。  隆史は「ただいま。どうしたの?」と言った。  私は<何が、『どうしたの?』よ。     のんきな顔して。こんなことを言うようじゃ、今朝言われたことなんか、すっかり忘れているな。     まったくもう!いつもこうなんだから。今日という今日は、きつく言っておかないと>と思った。  私は「今まで、何をやってたの?」と言った。  隆史は「死んだ猫を見てた」と言った。  私は<えっ?死んだ猫?>と思った。  私は「死んだ猫?」と言った。  隆史は「死んだ猫が動いたんだ!」と言った。  私は<何をバカなこと言ってるのよ。寄り道したことを、ごまかそうとしてるんだわ。     それにしても、よりによって死んだ猫のせいにするなんて。     いやだわ。何でそんなこと言い出したんだろう>と思った。  私は「死んだ猫が動くわけないでしょ。それより、どこに行ってたの?」と言った。  隆史は「本当に動いているように見えたんだよ!      それで、よーく見たら、猫のお腹が割れて、大きくて真っ白なうじ虫が、いっぱいいたんだよ。      みんなきれいに並んで、トウモロコシみたいだったんだ。      それが、一列に並んで、同じ方を向いて動いているんだ」と言った。  私は<勢い込んで説明している。どうやら本当のことらしいわ。でも、猫の死体についたうじ虫だなんて!     ああ、気持ち悪い。ぞっとする。隆史は、死体のそばで、うじ虫の様子をじっと見ていたんだわ。     通りがかりの人は、この子を見て、どう思ったかしら・・・。     きっと『アブナイ子だ』と思われたに違いないわ。何だか胸が絞めつけられるような思いがする>と思った。  私は「二時間以上も、うじ虫を見ていたの?信じられないわ!なんで、おまえはそうなの?     虫のことになると、他のことは、みんなどこかへ行っちゃうんだから・・・。     少しは自分の身体のことも考えなさい!朝、熱があるから、まっすぐに帰るよう言ったでしょ。     また、肺炎になったらどうするのよ!」と言った。  隆史は「うん」と言った。  私は<そうやって、いつもウンって言うばかりで、ちっとも変わらない。     何回言っても同じ。本当にわかっているのかしら。どうすれば、わかってもらえるのかしら>と思った。  私は「そうやって、『うん』って言ったって、どうせまた、同じこと繰り返すんでしょ。     何回言ってもわからないんだから」と言った。  隆史は「もう、わかったから」と言いながら、ランドセルを降ろした。  隆史は、靴を履き直し、玄関を出ていこうとした。  私は<えっ?もう一度、うじ虫を見に行くっていうの?     何を考えているの、この子は!今言ったばかりじゃない!!>と思った。  私は「隆史!どこへ行くの!」と言った。  隆史は「早く戻らなくちゃ。どこかに片づけられたら大変だよ」と言った。  私は<悪びれもせず、よくもそんなこと言えるわね!今、こんなにきつく言ったばかりなのに・・・。     この子には、全然通じていないんだ!>と思った。  私は「なに、ばかなことを言っているの!今、お母さん、何て言った?     もう暗くなっているし、風だって冷たくなっているのよ!     今出て行ったら、肺炎になっちゃうでしょ!」と言った。  隆史は「じゃあ、スキーの時の洋服着ていくよ。それなら、寒くないでしょ?      だって、めったに見られるものじゃないんだよ。本当にすごいんだ」と言った。  私は<だめなものはだめなのよ!どうしてわからないの!行っちゃいけない、と言うことが・・・>と思った。  私は「いいかげんにしなさい!!そんなもん、見に行く必要ありません!     さっさと上がって身体を暖めなさい!」と言った。  私は隆史の腕を引っ張った。  隆史は「えーっ!何でだよー!暖かくしていけば大丈夫だよ。本当に、すごいんだよ」と言いながら、  私の手を振り払った。  私の手が、壁にぶつかった。  私は「痛い!なにするの!この寒いなか、出て行ったら、また風邪ひくくらい、わかっているでしょう!     そのくらいのことが何でわからないの!!何を着たって、ダメ!     もう、外になんか出ちゃいけません」と言った。  隆史は「えー!何でだよー!暖かくしていけば大丈夫じゃないかー」と言った。  隆史は、口をとがらせて玄関にしゃがみこんだ。  ☆★☆ 自分の気持ちを、よく味わってみましょう ☆★☆  記述を書き直すと、私は、それを講師の先生にお見せしました。  先生は、私の記述に目を通され、 「この時の安田さんのお気持ちがとても詳しく表現できましたね。  それが、一番大切なことなのです。  せっかくここまで詳しく書けたのですから、今度は、書いたものをじっくりと味わってみましょう。  私たちは、日常生活の中で、  つい、目先のことに目を奪われ、その時々の自分の気持ちを十分に味わっていないように思います。  記述に書かれているものを何度も読み返すことで、  その時のご自分の気持ちをあらためて、味わい直すことができるのです。  できましたら、最低三回は、記述を読み返してみるとよいですね。  記述の自分の欄だけを読む自分読み、相手の欄だけを読む相手読み、そして、記述全体を読み通す全体読み。  この三種類の読み方を少なくとも一回ずつ試みて下さい」とおっしゃいました。  <ずいぶん面倒くさいことをするんだな>正直言って、その時は、そう感じたのですが、  とりあえず、先生がおっしゃったことをそのまま実行してみることにしました。  ☆★☆ <人がこんなに心配しているのに>という気持ちが、よみがえってきた ☆★☆  まず私は自分読みをしてみました。  ───“私は<いつも帰ってくる時間を、ずいぶん過ぎてるな。寄り道くらいなら、もう帰ってもいい時間だ。  途中で具合でも悪くなったのかしら>と思った。”から、 “私は「今まで、何をやってたの?」と言った。”まで───  この日、隆史は、かぜ気味で、微熱がありました。  本当は、学校を休ませたかったのですが、  本人が行きたがったこともあり、思い切って学校に行かせることにしました。  けれども、学校に行かせたものの、やはり隆史の体調は気がかりでした。  学校から電話がかかってくるかもしれない、という思いから、私は午前中は外出をひかえていました。  下校時刻が近づくと、何度もベランダに出て、隆史の姿が見えないかを確認しました。  そんな私の心配をよそに、隆史は、下校時刻を二時間過ぎても帰って来なかったのです。  記述のこの部分で、私は、隆史を心配しています。  何かあったのではないか、と胸を痛め、不安になっています。  けれども、隆史の姿が見えたとたん、私の気持ちは一変します。  ほっとしたと同時に、むしょうに隆史に対して腹が立ってきたのです。  この時の腹立ちは、隆史が帰って来るまでの私の心配な気持ちと、深いつながりがあるな、と感じました。  隆史を心配し、心を揺さぶられたゆえに、  そんな自分の気持ちを全然わかっていない隆史に、いら立ちや腹立ちを感じたのではないでしょうか。  <人がこんなに心配しているのに、どうしてわかってくれないの?>という、  この時の、隆史を責めるような気持ちが、私に中に、まざまざとよみがえってきました。  ☆★☆ 『やめなさい!』と言えない苦しさが、隆史への腹立ちとなっていた ☆★☆  ───“私は<えっ?死んだ猫?>と思った。”から “私は「そうやって、『うん』って言ったって、どうせまた、同じこと繰り返すんでしょ。  何回言ってもわからないんだから」と言った。”まで───  記述のこの部分でも、私は、隆史に対して、腹立ちや、いら立ちを感じています。  ただ、その腹立ちやいら立ちの内容が、ちょっと最初の部分とは、変わってきているような感じがしました。  初めの部分では、私は、隆史に対して、“早く帰って来る、という約束を忘れた”ということで怒っています。  けれども、記述のこの部分では、  隆史が、死んだ猫についたうじ虫に興味を示した、ということに対して、  腹立ちやいら立ちを感じているように思うのです。  私は、本当は、 「猫の死体についたうじ虫なんかに、興味を持っちゃいけません!」と叱りたかったのかもしれません。  でも、それに対する理由づけが私自身できませんでした。  他の人に迷惑をかけているわけでもないし、自分が好きなものをじっと見ているだけのことです。  それを理由なしに、やめなさせることは、親の横暴であるように私には感じられました。  自分が望ましくないと感じるものに、興味を示す隆史に、『やめなさい!』とはっきり言えない苦しさ。  それが、隆史への腹立ちやいら立ちとなっていたことに、私は初めて気づきました。  ☆★☆ 厳しく言うことで、隆史に悟らせたかった ☆★☆  ─── “私は<えっ?もう一度、うじ虫を見に行くっていうの?何を考えているの、この子は!  今言ったばかりじゃない!!>と思った。”から、 “私は「痛い!なにするの!この寒いなか、出て行ったら、また風邪ひくくらい、わかっているでしょう!  そのくらいのことが何でわからないの!!何を着たって、ダメ!  もう、外になんか出ちゃいけません」と言った。”まで ───  記述のこの部分では、隆史に対する腹立ちやいら立ちが、最高に強まっています。  セリフや心のセリフの中に、“!”が多く出てきていることからも、それはよくわかります。  記述を書いた当初は、風邪をひくから外にでてはいけない、ということを、なかなかわかろうとしない隆史に、  感情を高ぶらせた、と、自分の心の動きを、そうとらえていました。  けれども、じっくりと自分読みを進めていくうちに、  そうではなかったのかもしれない、と思えるようになりました。  私は、厳しく叱りつけることで、  『“猫についたうじ虫”を見に行くことは、いけないことなんだ』ということを、  隆史に悟ってほしかったのではないでしょうか。  私の厳しい口調から、そういうものに興味を持つことはよくない、  ということを、少しでも感じとって欲しかったのではないでしょうか。  けれども、私の期待したとおりには、反応しない隆史に、私は、ますますいら立ち、腹立ちを強めていった。  そんなふうに、この時の自分の心のうちが見えてきました。  ☆★☆ 隆史はマイペースを崩していなかった ☆★☆  次に、記述の相手の欄だけを読んでみました。  相手の欄だけを読んでみて、  この時、隆史の頭の中には、うじ虫のことしかなかったんだな、とあらためて感じました。  記述の前半で、隆史は、興奮冷めやらぬ様子で、私に自分が見てきた光景を話しています。  そこからも、隆史がうじ虫に夢中になっていたことがは、よくわかります。  記述の後半になって、私から叱られても、  隆史の頭の中は、<早く戻りたい。もう一度見たい>という思いで占められていたのではないでしょうか。  この個所の隆史のセリフは「うん」と「もうわかったから」だけです。  この時の私のセリフや心のセリフを比べて、隆史のセリフは極端に少ないのです。  隆史の心はすでにここにはなく、猫の死体がある場所へと飛んでいってしまっていたのでしょう。  「今日はもう外に出てはいけない」と私から言われて、隆史は私に強く反発します。  もう、うじ虫を見に行けない、ということがわかって、初めて隆史は反発してきたのです。  <隆史の頭の中は、自分の興味のあることでいっぱいなんだ。   それ以外のことは、眼中にないんだ>相手読みをすることで、  隆史のマイペースぶりをあらためて確認した思いでした。  ☆★☆ 自分で自分を笑う余裕が出てきた ☆★☆  最後に、私はもう一度記述全体を読み返してみました。  感情的になっている私とマイペースを崩さない隆史との食い違いがくっきりと出ているような気がしました。  記述の自分読みをして、隆史に対して、  私は“自分の気持ちを察してほしい”と言う思いを抱き続けていたことに気づきました。  けれども、それがもともと無理な注文であったことが、よくわかりました。  <隆史みたいに手ごわい相手に、私は、何の工夫もせず、感情の波立ちに任せて、気持ちをぶつけていたのか。   なんて向こう見ずだったんだろう>  何だか、おかしくなって、自然と笑いが込み上げてきました。  これまで、私は、隆史のマイペースぶりを考えるたびに、深く落ち込み、とてもいやな気持ちになっていました。  けれども、今、私は、自分の気持ちと隆史の気持ちのギャップをおもしろがっているのです。  そういう自分に対して、何とも不思議な気持ちがしてきました。  ☆★☆ 客観的には、どういうやり取りだったんだろう ☆★☆  では、私は、具体的にはどうすれば良かったのでしょうか。  その答えは、自分ではなかなか見つけることができませんでした。  迷った末、次の講座の時、その気持ちを先生にお話してみました。  記述を読むことで、私がどんなことに気づいたか、  そして、今、どんなことを疑問に感じているかについて、私は先生にお話しました。  先生は、黙ってうなずきながら聞いて下さいました。  そして、こうおっしゃいました。 「この時のお気持ちを丹念に味わいながら、記述を読み返しておられることがよくわかります。  ご自分のお気持ちを十分に味わいつくすことができると、  少しずつご自分のお気持ちから距離が取れるようになります。  それが、お心に余裕が生まれてくる、ということなのです。  安田さんのお心に余裕が生まれてきていることが、お話からとてもよくわかりました。 “ではどうすれば良かったのか”という疑問についてですが、  よろしかったら、息子さんと安田さんとの関わりを、もう一度、客観的に振り返ってみてはいかがでしょうか。  記述の中には、言ったことを表す“セリフ”と、心の中で思ったことを表す“心のセリフ”があります。  セリフは、言ったことですから、もちろん、そのまま相手に伝わります。  けれども、心のセリフは、心の中で思ったことなので、相手には、そのままには伝わりません。  心のセリフを抜かして、記述を読んでみると、この時のやり取りが、より客観的に見えて来るのです」  私は、早速、心のセリフを抜かして読んでみました。  ☆★☆ 会話はかみ合っていた ☆★☆  記述を読み返してみて、<あれ?>と感じました。  隆史と私の会話は、きちんとかみ合っていたのです。  隆史は、私の聞いていることに、素直に答えていました。  そのことに、この時、私は初めて気づきました。 「今まで何をやっていたの?」と聞けば、「死んだ猫をみていた」と答えています。  意味がわからずに聞き返すと、さらに詳しく説明してくれています。 「寒くなるから家にいなさい」と言うと、スキーウェアを着て、暖かくして行く、と答えています。  <隆史は、言葉にして伝えれば、それを受けとめることができる子なんだ>  それは、私にとって、とてもうれしい発見でした。  ☆★☆ <心配していたなんて、言うもんか!> ☆★☆  私が言葉にして伝えていたことを、隆史はきちんと受けとめていました。  つまり、隆史に伝わっていなかったのは、  私が心の中で思っていないから、口にしていなかった気持ちだったのです。  私は元の記述と心のセリフを抜かした記述とを読み比べてみました。  どのような思いを言葉にしていなかったのかを確かめてみたいと思ったからです。  私が口にしていなかった思いは、二つありました。  まず、ひとつは、隆史の体を心配して、ハラハラしていた気持ちです。  私は、どうして、その気持ちを口にすることをしなかったのでしょうか。  私は、その時の自分の気持ちをもう一度思い返してみました。 “<心配するのは、いつも私の方で、隆史はそんな私の気持ちにおかまいなし。   自分の好きなことばかり考えて、のほほんとしている。   私ばかりが、なぜ、こんな損な役回りをしなくてはいけないの?   悔しいな。   隆史のことを心配していたなんて、絶対言ってやるもんか>”  こんな心のセリフが思い浮かびました。  私は、早速それを記述の中に書き加えました。  ☆★☆ <隆史の気持ちを私が信じてあげれば良いだけなんだけれど・・・> ☆★☆  私が口にしていなかった二つ目の思いは、“通りがかりの人は、この子を見て、どう思ったのかしら・・・。  きっと『アブナイ子だ』と思われたに違いないわ。  何だか胸が絞めつけられるような思いがする”という個所に書かれている、隆史に対する否定的な感情でした。  この否定的な感情の奥には、  “『そんなものに興味を持っちゃ、いけません!』と言いたいけれど、言えない”という、  隆史に対する、葛藤する思いが潜んでいました。  私は、記述の心のセリフの中に、言いたいけれど言えない、という葛藤する気持ちを書き加えてみました。  <『そんなものに興味を示しちゃいけません!』と言えたら、どんなに気が楽だろう。   でも、そんなこと言えないわ。隆史は、ただ、虫に興味があるだけなのよ。   それを無理にやめさせるのは、親の横暴だわ。   周りがどう見ようと隆史の気持ちを私が信じてあげれば良いんじゃない。   でも、そう思っても、やはり私の中にはいやな思いが残る。   隆史のことを良く知らない人は、隆史の虫に対する思いを理解することは難しいだろう。   どうしよう、どうしたら良いんだろう>  こんな心のセリフが書き加えられました。  ☆★☆ 心のセリフを、隆史に伝えていけば良いんだ ☆★☆  ここまで、心のセリフを書き加えてきて、私は、ハッとしました。  <今、ここで書いている心のセリフ。   それをそのまま、私の気持ちとして隆史に伝えれば良いのではないかしら。   言いたいけれど言えない、という葛藤があるなら、   葛藤しているままに、その気持ちを伝えて良いのではないかしら>  そんな思いが私の中から起こってきたのです。 “私はこんなふうに思うの。  でも、こんな思いもあってなかなか、それを口にできなかったの”という形で気持ちを伝えるなら、  隆史の心にも私の気持ちが伝わるかもしれません。  自分の気持ちを見つめる大切さをかみしめつつ、  隆史との、あるがままの心の交流を、これから少しずつ深めていきたいと思っています。                           つづく・・・  次回は    「 お母さんたちのセルフ・カウンセリング体験記 6 」    をお送りいたします。        どうぞ、お楽しみに!    皆様のご意見ご感想をお寄せいただけたら幸いです。  self_counseling2000@yahoo.co.jp  セルフ・カウンセリングには、  通学講座、通信講座など様々な講座があります。  詳しい内容はこちらから →http://www.self-c.net/sutady/index.html              →https://www.self-c.jp/study/self-counseling/  ご興味のある方は、下記の事務局までお問い合わせください。    一般社団法人生涯学習セルフ・カウンセリング学会    〒215-0003 神奈川県川崎市麻生区高石4-23-15  URL  http://www.self-c.net  電話 044-966-0485 ファクシミリ 044-954-3516  電子メール  self_counseling2000@yahoo.co.jp      ************************************** ************************************** ◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます ※発行者さんに届く内容は、メッセージ、メールアドレスです ◎セルフカウンセリング♪自分の心に出会えるメルマガ♪ の配信停止はこちら ⇒ https://www.mag2.com/m/0000231376.html?l=got179cddb