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私たち日本人は『近代化』という巨大な変化にどのように対応すべきか? (3/6) |
●近代化とは? 歴史上かつてなかった、20世紀の、この大きな変化を引きおこした背景は、いったい何なのでしょうか。私たちは、このような激しい変化を引きおこしているものの正体を見きわめる必要があります。 この大きな歴史的変化は、個人の側から見ると、個人の欲求充足の仕方が合理的になってきた過程である、と言ってよいでしょう。私たちは、伝統の束縛から解放されて、自分の欲求を合理的な仕方で充足するようになってきました。 社会の側から見ると、自然発生的な集団の束縛から解放されて、集団を目的に従って合理的に組織するようになってゆきました。 血縁や地縁にもとづく自然発生的な集団(家族や村落)は力を失い、目的にもとづく組織集団が力をもつようになりました。 まとめて言うなら、前近代的な農業中心の社会から、近代的な企業中心の社会に変化してきたのです。 □近代化発生の地 現在は、世界的規模で近代化が推し進められています。どの国の都市に行っても、自動車が走り、高層ビルが建ち並んでいます。しかし、日本をはじめ、アジアやアフリカは、近代文明をヨーロッパから輸入しただけです。 地域規模でみて、『近代化』を引きおこしたのは、ヨーロッパという地域です。他のいかなる地域からも、近代化は起こりませんでした。一体、ヨーロッパの何が近代の科学・技術文明を生み出したのでしょうか? □近代化の原動力 ヨーロッパの歴史をふり返ってみると、まず、ルネッサンス(古代文化の復興)が、学問・芸術の領域において、近代化への道を準備しました。しかし、近代化への決定的な一突きとなったのは、ヨーロッパ大陸の全体をまきこんだ、宗教改革(リフォーメーション)でした。 そして、その決定的な転換点を象徴している人物がルターです。 ヨーロッパ全体を代表する、従って、当時の世界全体を代表する国際的教職集団だったカトリック教会から、ルターは異端審問にかけられました。 「あなたは、自分の信仰を捨てるか、否か」と問われた時、ルターは、「私はここに立っています。ここに立つほかはありません」と言って、転向を拒否しました。 当時の全世界に対抗して、ルターは、自己の信仰を主張したのです。“全世界に向かって自己を貫こうとする”ということから、ルターやルターの後継者たちは、プロテスタント(抗議する者)と呼ばれるようになりました。 |
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