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私たち日本人は『近代化』という巨大な変化にどのように対応すべきか? (6/6) |
□文化的領域の近代化 文化的領域では、それまでの神学的な考え方は影をひそめ、実証主義的な考え方に変化してゆきました。 つまり、私たちは、目に見え、耳に聞こえ、手で触ることのできることだけを信じるようになりました。さらに、私たちは、伝統的な考え方には、疑いの目を向けるようになりました。とにかく、『古いものには価値がなく、新しいものには価値がある』と思いこむようになりました。そして、何に対しても、合理的に説明を求めるようになりました。 新しい学問的説明や、新しい芸術的表現が次々と出現しては、消滅してゆきます。次から次へと新学派が生まれ、新流派がおこります。 絶えざる科学の新物質の発見、絶えざる新技術の発明、絶えざる新市場の開拓、絶えざる新政権の誕生、絶えざる新集団の出現、絶えざる新学派や新流派の結成、などなど――。現代では、あらゆるものが目も眩むばかりの速さで変化しています。 このような、私たちをとりかこむ外的条件の激しい変化は、私たちのうちに、強い自己評価の危機を惹き起こします。ともすれば、私たちは、不安に駆られて、その変化についてゆこうと焦ります。“バスに乗り遅れてしまう”というように――。 しかし、いま、私たちが必要としていることは、変化に目をうばわれることではなく、立ち止まって、変化するもののただ中で『変わらないもの』を、しっかりと見定めることではないでしょうか。 (講演用原稿に加筆・再構成) |
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