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私たち日本人は『近代化』という巨大な変化にどのように対応すべきか? (5/6) |
□政治的領域の近代化 政治の領域で、前近代社会と大きく異なるのは、近代社会では、法律が私たちの生活を規制しているということです。 前近代社会は、過去から引き継いできた伝統的慣習が生活を規制していました。 ところが、近代社会では、伝統が支配するのではなく、法律が支配するようになったのです。法律は、一定の形式的な手続きをとれば、いつでも改正できます。また、新しい法律を制定することもできます。こうして、生活の変化に応じて、次から次へと新しい法律がつくられてゆきます。新しい法律ができれば、私たちは、その法律に従って生活しなくてはならなくなります。 昔は、国王が独裁的にルールを定めていました。そして、その権力を、王の一族が受けついでゆきました。 近代社会では、独裁者が決めるのではなく、人々が決めるのです。独裁制から民主制に変わったからです。そのシンボルが投票による選挙制度です。 選挙制度になったということは、権力者がいつでも交代しうるということを意味しています。そして、政権担当者は、選挙のたびに次から次へと交替してゆきます。 経済の領域で、市場がたえず変動するように、政治の領域では、たえず、政権が交替します。市場の変動や政権の交替によって、私たちの生活の仕方も、たえず、変わらざるをえません。 □社会的領域の近代化 社会領域に目を向けると、家父長が絶対的な権力をもっている大家族から、民主的な核家族に変わってきています。 もはや、家族は、生産する場ではなくなり、専ら、消費する場になりました。生産する場は、企業になったのです。この消費者の家族と、生産者の企業を結びつけるものが、商品市場であり、労働力市場である、と言ってよいでしょう。 民族のような血縁集団や、村落のような地縁集団よりも、企業のような組織集団が、支配的になってゆきました。自然発生的な集団は、背景に押しやられて、職業的能力によって結びついた組織集団が社会の前面に出てきています。 市場に需要があれば、次々に新しい組織が生まれ、次々に新しい職業も増えてゆきます。 その結果、電話帳の職業欄は大きくふくらんで、ますます分厚くなってゆきます。分類に困るような新職業が次々に現れてきます。 □地域社会の近代化 近代において、農業中心の社会から産業中心の社会に変化してゆきました。それとともに、村の人たちは村を出て、町へ働きに行くようになりました。村落の人口は減り、都市の人口が増えてゆきます。つまり、都市化してゆくということが基本的な傾向になりました。 私たちは、もはや、ある特定の場所に縛られなくてよくなりました。私たちは、どこにでも移り住むことができます。 |
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